私の実家の近くには、かわいい屋根のおうちがありました。自分の家を説明するときは、その家を目印にすればみんな迷わずたどり着けました。実家はごく普通の外観だったため、表札がないと訪問者を悩ませてしまう家でした。
注文住宅を建てるなら、ただの住居ではなく、地域の目印になるような家にしたいと思っていました。今回は、外観を通じて街とつながる視点をご紹介します。
地域に溶け込む外観デザインの工夫
まちの風景に違和感なく馴染む
新興住宅地や古くからある街並みなど、場所によって家の印象は大きく異なります。
我が家では、近隣に多い切妻屋根のフォルムをベースに、個性を加えつつも調和を大切にしたデザインに仕上げました。地元の工務店から「このあたりではこの屋根形状が落ち着きます」とアドバイスを受け、特徴を少しだけ出すことにしました。
素材や色で統一感を演出
外壁の色は周囲の住宅とトーンを合わせたベージュ系にし、アクセントとして地域でよく使われる石材や木材を取り入れました。
その結果、「地域の一部」として自然に感じられる外観となりました。
外観が生む“記憶”の力
子どもの記憶に残る家
子どもたちが「帰り道は、あの赤いポストの家までまっすぐ!」と話すように、外観は子どもたちの安全や安心に直結しています。
特徴あるランドマーク的な外観は、子どもにもわかりやすく記憶に残る家になります。
来訪者にとっての目印に
友人や配送業者など初めて来る人にとっても、覚えやすく説明しやすい外観は大きなメリットです。
我が家ではシンボルツリーと特徴的な三角屋根が目印となり、「あの家ですね!」とすぐに気づいてもらえます。
地域文化を取り入れるデザイン視点
伝統的な意匠の再解釈
地域に根ざした家づくりを意識し、昔ながらの格子や瓦の要素を現代的に取り入れました。
懐かしさと新しさが共存する外観が実現し、設計士と「この土地ならではのデザインは何か」を考える時間はとても楽しく、街並み作りの一員であることを感じました。
地元職人との協働で生まれる価値
外構や門柱には地元の左官職人や石工の技を取り入れ、地域の手仕事が加わることで、家が地域文化の一部として存在感を持つようになりました。
建築会社が職人とつながりを持っていたため、想像以上に温かみのある仕上がりとなりました。
まとめ
家の外観は単なる見た目ではなく、地域とのつながりを象徴する「記号」のような存在です。
周囲との調和を保ちつつ、自分たちらしい個性も加えることで、街並みの中に自然と溶け込みながら、記憶に残る家となります。
建築会社と共に“まちとつながる外観”をじっくり考えてみてはいかがでしょうか。
悪目立ちせず、「ああ、あの家ね」とわかるように、繊細なデザインを追求しました。